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「あぁ、それと「いたっ・・」その子噛みつきますよ。」
「言うのが少し遅かったですね。」とセインが呟いていると、蘭がその小さな狼に指をくわえられたままその蒼色の綺麗な瞳に今にもこぼれんばかりの涙を溜めながらセインの方を見ていた。
セインはその状況に溜め息を一つ吐くと蘭の指から出た血を舐めているその小さな狼と蘭を引き剥がしにかかった。
「蘭、大丈夫ですか?指を見せてご覧なさい。」
「ふっ・・うっ・・・えぐっ・・」
セインは傷を見て特に心配いらない程度の傷だったのかほっと息を吐くと、本格的に泣き出してしまった蘭をあやしにかかった。
「蘭、あまり泣いてはだめですよ、可愛いお顔が台無しになってしまいますよ。あの子とは明日遊びましょう。先に向こうでアースに怪我の手当てをしてもらいましょう。」
そう言うとその言葉にコクコクと首を縦に振っている蘭を抱き上げアースの元へと向かった。
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