雨降って地固まる

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華道室を出て家庭科室に戻ると 誰かの姿が見えた。 那「……どうしたの?練習は?」 「紗英に任せてきました。」 扉の前には愛海ちゃんがいた。 愛「あたし、那美先輩に 謝りたくて…………。」 那「……………。」 愛「あの……あたし、 自分しか見えてませんでした。 さっき、和人先輩に 怒られたんです。」 ………和人が? 1度も女子に怒ったことないのに。 愛「那美先輩が出て行かれた後、 和人先輩は凄い形相で 向かって来たんです。 紗英が説明すると 『俺は那美を愛してる。 那美に何かしら被害を加えたら 容赦しねぇ。』 って言われました。」 和人……………。 愛「その時、実感しました。 那美先輩は愛されてるなって。 あたしの入る隙間なんてない。 ………実は大分前から 気付いてたんです。 でも認めたくなくて………。 那美先輩に見せる表情は 色々あって、あたしじゃ無理だ。 何回も思いました。」 那「……………。」 愛「和人先輩を物扱いして すいませんでした。」 愛海ちゃんだけが 悪いわけじゃないのに。 あたしの口からは 何も出て来ない。 那「………マフィン、食べる?」 愛「へ?」 何言ってんだ、あたしは! 那「………あたしもごめんね? 言い過ぎた。もし良かったら マフィン食べてくれる? 皆に差し入れしようと思って さっき作ってさ。 ちょうど焼けたと思うし、 一緒に先食べよ?」 愛「……はい! ありがとうございます!」 良かったー! 拒否られたら立ち直れなかった! .
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