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外は、朝から雨音が響いていて、コンクリートが雨に濡れたにおいで目が覚めた。
隣で寝ているはずの美佳がいない。
―――遡ること半日。
夜ご飯は、“引っ越し蕎麦”と言い張る美佳を近所の蕎麦屋に連れていき、さあ、夜はこれから…………って時に、ことは起きた。
「先に風呂入るか?それとも、一緒に入る?」
ズズッと美佳に一歩近づいた時、
「ト、トイレ行ってきます。お風呂は、先に入らせて頂きます。だ、だけど、絶対に覗かないで下さいッ。恥ずかしい」
そう叫ぶように言い、脱兎の如く走り去った。
覗くなと言われると覗きたくなるのは、大人でも子供でも同じ。
美佳の入浴シーンを想像して楽しんでいたオレのもとに、どんよりと暗い顔の美佳が、トイレから戻ってきた。
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