3月10日 曇り

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オレは、あの時本気で結婚する気だったんだ。嘘なんかじゃない。 そもそもうけるような事か?笑いもしてないし。 「あのね、亜梨。私のわがままに先生が付き合ってくれただけだから」 「ふぅん、先生って、なんか、エロっ!あんた達、嫌ね。傷心の私の前で庇いあって、いちゃついて、たまったもんじゃない」 「なっ……違うし。それより、亜梨別れたの?」 「そうよ。あんたにそれ買いに行ってたら、アイツ前から女と歩いてきた。私に気づきもしないで、通り過ぎた男なんて願い下げだわ」 「……まじで!?」 「だから、ハイ。そんな縁起の悪いもので悪いけどね」 ニヤッと川口は笑って、美佳に渡していたけど、無理しているのがわかる。 「美佳、オレちょっと学校行って仕事してくるわ」 ここは、泣き腫らした目で笑っている川口に譲ってやるか。 オレの春は、まだ、来そうにない。
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