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オレの実家の近くに、早桜で有名な公園がある。
一本だけ咲き誇るそれは、見る者を引き付ける。
オレは、美佳にそれを見せたくて、夕方、仕事が終わると、ドライブに行こうと誘った。
「駿一、どこに行くの?」
目をキラキラさせて、楽しみにしている美佳。
「んー、行ってのお楽しみ」
そうはぐらかし、オレのお気に入りの洋楽を流した。
それを口ずさむオレを、物珍しそうに見てくる。
「なんか、ご機嫌だよね。そんな駿一、初めて見たかも」
浮かれているわけではないが、デートらしいデートが出来ないでいたオレ達。
やっと。そんな気持ちなんだ。
「ハハ、そうか」
そんな中、美佳が気づいた。
「ねぇ。駿一の実家に向かってる?」
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