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「美佳がそう言うなら、実家に寄らなくてもいいよ。メインは、そっちだから」
堤防沿いの駐車場に車をとめて、外に出る。
「待って!どこに行くの?」
小さいことにこだわる美佳を置いて、さっさと足を進めた。
「駿一!!」
こんな大きな声で呼ばれたことがない。
思わず、足を止めてしまった。
「おいで」
手を差し出せば、飛びつくようにやってきた美佳。
その手を引っ張りながら、目差すは、早咲きのサクラ。
毎年、そこだけライトアップしてくれる。
「駿一、あ……れ?」
「美佳に見せてやりたくてさ」
「うわー、綺麗。幻想的な感じする」
オレに文句言っていた時とは、別人のような声だ。
「まだ、周りは、咲いていないのにね」
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