5769人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
親から預かっただろう手土産を片手に持ち渡しながら。
「おう。とりあえず、上がれ」
昨日のうちに身の回りのものを親御さんから勝手に預かったので、膨れると思ったが、すごく嬉しそうだ。
「ねぇ、外、出ていい?」
窓の向こうを指差し美佳に頷き、オレも後を追うように外に出た。
「ふふふ、昼間だとこんな風に見えるんだね」
思い出す、あの美佳の誕生日の夜。
強く好きだと意識した瞬間だ。
「あー、だな。あんま、見ないけど」
普段は仕事でいない。
土日も特に窓を開けて景色を見たりしないオレは、無関心だった。
「もうッ!!少しくらい一緒に感動してよッ!!」
そう言いながら部屋に戻る美佳を無言で追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!