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君は誰よりも笑顔の似合う人。
中学1年生の春。
目もチカチカするような綺麗な桜並木を、私、松本唯(マツモトユイ)と友達の佐倉月乃(サクラツキノ)は歩いていた。
「ねぇ、月乃…私変じゃないかな?」
成長期だからと、少し大きめに買わされた制服は着ているというよりは、着せられているに近い。
「んん?んにゃ、全然変じゃないよ?唯はいつもどうりミニモニだって」
形のいい月乃の唇から真っ白な歯が覗いた。
「み…ミニモニっ!!」
―――失礼な!
そりゃあ確かに私の身長は138cm…。
ばっちりミニモニ。範囲内だ。
(余計なお世話だ!)
そして今日は…
―――入学式
この間までランドセルを背負っていた私達がちょっぴり大人の中学生になる日。
「あ!!唯、クラス表あったよ」
そう言って月乃は人混みの中に消えて行く。
「待ってよ月乃!―――ぶッ」
月乃を追い掛け人混みに入った私の体はみるみるうちに人の渦に呑み込まれた。
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