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真新しい制服はすでに着崩されていた。
見るからに…ふ…ふりょ…。
「あり…ありが…と」
「ん?…おい…ちょっとッ!!」
私は小さく呟いて、一目散に逃げる。
だって初めてだったんだもの…
――不良見たの。
「ぎゃぁぁあぁ!」
「待てっつてんだろ!止まれ!そこのチビ!」
「…っ!!」
――チビって言うな!
っていうか、あんたもチビじゃん!
後ろの不良は諦めることなく追い掛けてきた。
やがて距離は縮んで不良の手が私の肩を掴む。
「…ひぃっ!?」
「ハァ…ハァ…捕まえた」
不良は、がむしゃらに走ってきたようで髪の毛なんてぐちゃぐちゃだ。
「離してよっ…不良!」
「はぁ?何言ってんだよ…あんた」
「そんなヒヨコみたいな顔して!この親不孝者ッ!!」
「誰がヒヨコだ!?」
「あんたよ!言っとくけど、うちにはお金なんかないから謝礼金とか払えないんだからね!」
「んなもん、いるか!」
私は力いっぱい不良を睨んだ。
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