2.籠球・成長

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「おい、教科書見せろ」 命令口調で腕をこずかれる。 入学式から約1ヶ月が流れた。 私と宙は同じクラス。 …の、しかも隣の席。 これを運命と呼ばないでなんというの…? 日頃のおこないがそんなに悪かったの…? 私は頭を抱えた。 「おいってば!」 うっさいわね…こんなやつ無視よ、無視…。 私は頬杖をついて椎名宙から顔を背けた。 「せんせ!!松本さんが無視します!」 「なっ…」 まわりから微かに笑いが起こる。 「また…お前らか?」 担任は面倒臭そうに頭をかいた。 なんで私まで…とんだとばっちりだよ。 私は膨れっつらで宙を睨む。 「お前達は本当に仲が良いよな…もしかして…付き合ってんの?」 担任の先生は目を細めて私と宙を舐めるように見た。 「はぁ?」 何言い出すのよ! ハゲ村! 私は立ち上がり、ハゲ村こと竹村先生を睨んだ。 「冗談じゃ…」 「そうなんですよー僕達ラブラブなんですよ!ねー?唯ちゃん♪」 ――!? このバカ…何を…。 ――唯ちゃん? 全身を悪感が襲った。
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