* ステップ 1 *

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出会ってようやく1年。『憧れる』その言葉の対象はいつも山ちゃんとちぃの方だった。 入学当初から周囲から逸脱した存在で、誰もが彼らに近づきたいと望んだ。 周りの人がみんな振り返ってしまうような美しさと誰とも馴れ合わない気高さ。例えるなら憧れの他何もなかった。 だから、ちぃが一緒にお弁当食べていいかな?と声をかけてくれた時は驚愕した。 俺達は、小学校からの腐れ縁でずっと一緒に居た3人だったし、特別優れている人が居るとかそんな訳じゃなかったから…。 「僕って涼介と生まれた時から本当にずっと一緒なの。自分達の世界には僕らだけ居ればいいって思ってた。でも、裕翔くん達に会って変わったんだ。」 彼は最近2人きりになると本当に思いがけない事を話す。まるで僕らを置いてひとり何処かへ行ってしまいそうでいつも怖くなるのだ。 ちいの肩をぎゅっと握る。 「俺、頑張るから!そんな山ちゃんの事頼んだみたいな…っ離れて行っちゃうみたいな言い方やめてよ…。」 「嫌だなー。離れたりしないよっ(笑)例え裕翔くんが地の果てまで逃げても追いかけて告白させるから(はあと」 笑顔でさらっと否定されたが俺の心はなかなか晴れない。すると知念は 「大丈夫だって!よし!あしたのお昼屋上で作戦会議ね!」 と楽しそうに微笑んだのでまたまだ言いたい何かを飲み込んだ。 _
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