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あっという間の出来事だった。
天才と呼ばれた男は、自らの手でその価値ある脳細胞を吹き飛ばした。
彼を追い詰めた二人の刑事は、ただその場の空気に圧倒されて見つめているだけだった。
赤白黄色。
吐き気を促す彩色を床に撒き散らしながら、三島は勢い良く倒れ込んだ。
「……ちっ」
刑事の片割れである清原は、まるで止めようとしたのに間に合わなかった、とでも言いたげに舌打ちした。
確かめるまでも無かった。
どう見ても即死だ。
清原、そして彼の後輩である高見に残された仕事は、今の現状を報告し、迅速に然るべき対応をする事だった。
住宅街の一角にあるアパートの一部屋。
それが連続殺人の犯人、三島が選んだ死に場所だった。
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