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「先輩、こんな時に……多分、本当に今聞くべきじゃないと思うんですけど、ひとつだけ聞いてもいいですか?」
高見はまるで、後味の悪いサイコホラー映画を見た後のような面持ちで呟いた。
「三島の言っていたヒドゥンサバイバルって一体何ですか?」
先輩として衝撃を受けている後輩を叱咤し、即座に次の行動に移らなければならない筈なのに、清原も同じ表情で応えた。
「書店などで特別コーナーが出来ているのを見た事がないか? 三島の著書で、ミステリー小説だ。」
「何で、そんなものを最期に呟いたんでしょう?」
「私に解る筈がないだろ?」
清原はゆっくりとした動作で携帯電話を見ると、ようやく自らのなすべき事を思い出し、高見に指示を出した。
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