焔硝の跡に残る業

三島明人

ヒドゥンサバイバル。

物語の犯人ではなく、殺害に用いられた道具を推理する異端のミステリー小説。

その、ある種の何でもあり的な、強引な展開は読者の度肝を抜き、一部の熱狂的な読者を生み出すまでに至った。

前述したように推理するのは道具。

しかも実在する刃物や薬剤を用いたトリックなどではなく、空想の産物である未知の道具を推理するのだ。

証拠の残らない薬、溶けて無くなる大鎌。

読者は物語の中で事件が起こるたびに、どんな架空の凶器であれば辻褄が合うか、推理を楽しむ。

架空である筈なのに、微妙に存在しそうな設定の凶器が、読者の推理欲を刺激した。

「本当に、何でヒドゥンサバイバルなんだろうな、気持ち悪い」

小説の中では未知の道具は科学者によって作られ、三島も天才と呼ばれた科学者。

何がと聞かれれば答えようが無いが、清原は何かに対する拭えない不安感を抱いた。