最期へと繋がる元素

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受付ロビーも同じ様に召使いがずらっと並んでいて、おかしな事にそこは病院とは似ても似つかない見た目だった。 勿論、私達の理想郷の姿とも違う。 部屋の中央に大きな穴がぽっかりと空いていて、それを取り囲むようにして召使いが並んでいるの。 そして穴を挟んで丁度反対側に、召使いとは違う……車椅子……なのかな? 車椅子に乗った人がいて、多分こっちを見ていた。 多分としか言えないよ。 だって、その人は顔の上半分もあるような奇妙な形の大きなサングラスをかけていて、その目がどんな形か隠されていて解らないから。 体を見たら男の人だって解る。 他の人に車椅子を押させているその姿は、まるで。 ……まるで王様のようだった。 「ようこそ冴木なち。さあ、今から最後のゲームをしよう」 その声は男の人のものじゃなく、女の子の声だった。 マイクか何かで声を変えているのかな、絶対に椅子に座っている人の声じゃない。 でも確かにあの人の方から聞こえてくる。
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