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「お前だけは……殺す……殺す……」
「ああ、殺してみろ。このゲームでな」
せいやは車椅子の横に置いてあったナップサックをプレーヤーに拾わせて、そこから自らの手で小さな機械を取り出した。
「お初にお目にかけるな。これが僕の道具『スヴァローグ』だ」
「!」
「本来のあるべき形に戻そうじゃないか。僕がお前の全てを知っているのは不公平だろ? だからお前にも考えるチャンスを与えてやる」
せいやは静かにゲームIDを指示し、人の壁の中から何人かをなちの前に並ばせた。
その手には珈琲牛乳の容器が握られている。
「ルールはもう聞いているんだろ? お前が僕を殺したら勝ち、だ。だがお前の手元に僕を殺す道具はない。そしてそいつらが持っている容器。お前なら意味が解るだろ?」
「解るわけない……」
「僕からお前までの距離は、約七メートルある。僕はここからスヴァローグを使ってお前から身を護らなければいけない。だが、スヴァローグを使うには、お前に近づかなければ使えない」
「…………」
「今からお前に選択権が生まれる。ひとつはそこの十人の中から一人を選び、その手に持っているものを受け取る選択。もう一つはゲームの負けを認めて降伏する選択だ」
せいやは一枚のコピー用紙を取り出し、横に立っていたプレーヤーに渡し、なちに届けさせた。
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