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「お前がひとつ選ぶたびに、僕はお前へと近づいていく。七メートルだから丁度七十センチ。僕はお前に近づき、ある段階で殺される事を回避する為にスヴァローグを使う。それまでにお前の『望んでいるもの』を当て、先に僕を殺してみろ」
ヒドゥンサバイバルの原点。
お互いの道具を隠し、相手を出し抜くというルールは破壊者側にとっては、既に意味の成さない圧倒的不利のルールである。
二宮せいやはそれを独自のルールを付与する事によって、公平にしようと提案してきたのだ。
「お前が僕を殺す為にクリアする関門は二つ。ひとつは十回の内の、あるタイミングまでに本物を当て、僕を殺さなければいけない。ひとつはスヴァローグがどういう物かを考え、これを使う機会を僕に与えないようにしなければいけない」
なちはせいやの手元にあるスヴァローグを睨んだ。
言い換えれば相手の道具がどんな物か推理できれば、どれだけ第五元素爆弾を手に入れられなくても、ぎりぎりまでチャンスがあるという事。
だがあるタイミングという言い方が彼女には気になった。
それは一回選択を誤っただけで使用されるのかも知れないし、或いは五回くらいは余裕があるのかも知れない。
距離が重要。
追加のルールで、せいやは暗にそれを示してみせたのだ。
道具のヒントとして。
「信用できない……そいつらの中に、私の道具を持っている奴がいるという保証はない」
「信用するかどうかはお前が決める事だ。目の前で証明する事は『重大なペナルティ』となる事はお前も知っているだろう? だから僕は宣言する。七英雄の名にかけて、誰か一人は必ず中身のある本物を所有していると」
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