護衛者

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強い陽射しの下で瀬良ようこは歩いていた。 気の強そうな顔の造りはボブカットである事も手伝い、少年のような印象を感じさせた。 身長も然程には高くなく、むしろ低い方と呼べるだろう。 Tシャツにデニムジャンパースカート、スニーカーという服装は小麦色の肌の彼女にはあまりにも似合っていて、この格好をした彼女の年齢が二十歳だと聞くと、初対面の人間は皆驚く。 ボーイッシュな外見の女だ。 そんな少年っぽい服装の中で、それでも自分は大人の女性なんだと主張するかのような赤色のイヤリングを揺らしながら、彼女は歩いていた。 その右手にはデコレートされた携帯電話。 どうやら彼女は、電話を誰かにかけながら歩いているようだ。 「はあっ? 今日はせいやの家に向かうって言ったでしょ? 私の話、まともに聞いてないでしょ? 約束守りなさいよね」 顔に似合ったはきはきとした口調だが、その言葉は明らかに通話相手に対して怒りの感情を含んでいた。 「……約束? 僕が約束なんてお前とした事が有ったか? 僕に……自分の意志を押し付けるな。いつもそう言っている」 ようことは対照的な、細々として感情のこもっていない声と口調。 ただ言葉の意味だけが、ようこに対して反論していた。
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