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空は今にも雨が降り出しそうな雲に、まだ覆われていた。
俺はいつものように、風野川沿(ぞ)いの道を通って家に帰る。
そして、いつものように
「おい!やっと来たぜ!」
「全く……遅(おせ)ぇんだよ!」
3人の男に囲まれる。
その中の1人が俺をバカにした口調で
「はいはい!可愛いね~君!大人しくこっちにきてね!」
と、言って、俺の手首を掴むと、強引に風野川まで俺を連れて行った。
砂利の上に立つ俺。そして、俺の前に立つ3人の男……村岡達だ。
村岡は風野川に着くと、いきなり
「財布(さいふ)貸せ」
と低い声を発した。
村岡達はそう言うと、ケラケラと憎たらしい笑い方をする。
それに対して俺は、感情が全く含まれ無い声で一言だけ言ってやった。
「持ってねぇよ」
「「「はぁ!?」」」
俺の言葉を聞くと3人共、「何言ってんのこいつ?」と、言いたげな表情になった。
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