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少年は校門の前に立ち尽くしていた。
今日から新学期が始まり、少年は高校2年生になる。
早く教室に向かわないと新学期の初日から遅刻してしまう。
だが……少年が動く気配は無い。
しばらくの間、そのまま静かに時間は過ぎた。
携帯の画面を開き
「後2分……かぁ」
少年は昨日の様に、息を吐く様に呟いた。
その言葉が合図だったかの様に校門の中に一歩、歩みを進めた。
その足はまるで、鉄で出来てるかの様に重そうだ。
少年は、もう誰もいない掲示板の前で、独り静かに新しくなった自分のクラスを探していた。
その目はまるで、猫に怯(おび)える鼠の様だ。
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