空模様

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しかし、少年は自分のクラスを目に映した時、目からは力が無くなり、ホッとした表情に変わる。 彼はそのままの表情で、この学校=風並高校(かざなみこうこう)に入った。 少年が目指すのは2階。少年のクラスの2年3組だ。 少年は教室に辿り着くまでは誰とも遭わなかった。 なぜなら、もう30秒くらいでチャイムが鳴るから、他の奴はもう教室に入っている。 ガラガラッっと嫌でも鳴ってしまうドアを開けると、少年の顔は無になり、表情からは何も読み取れなくなる。 ガラガラッっと音に反応したクラス中の人は皆少年を見詰める。 その視線はまるでナイフの様に鋭く、少年に切り掛(か)かる。 何とか表情に無を貫(つらぬ)くが少年の心は傷だらけだ。 そこに追い撃ちを掛ける様に言葉の雨が、少年だけに降り注いだ。 そう、陰口(かげぐち)だ。 それも人間が一番嫌とする、本人に聞こえない様に言おうとヒソヒソする癖に、本人にしっかり聞こえる様に話す。 聞こえなさそうで聞こえる……それが、一番卑怯で、一番相手を傷付ける。
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