アイオワの章

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「大和さま、大和さま、起きて下さいまし」 大和の耳に光の声が聞こえた。 しかし大和は未だ夢のなか。 「ん……ん」 「大和さま、大和さま」 光の声が夢現(ゆめうつつ)の大和を起こそうとする。 「大和さま、起きませんと、違う所が起っきしていますよ」 直後、大和の股間に光の手が触れた。 「んああ! 触るな!!」 慌てて起き上がり、その手を払い退ける大和。 「ああ、大和たま……」 寝惚けた目が、光の輪郭を捉える。 しかし何かがおかしい。 大和は枕元に置いたメガネを掛け、ベッドの横で尻をつく光を確認した。 目を凝らして見ると、その人物は光ではなかった。 ……おっさん? 「だ、誰だ貴様!?」 その男はメイドの格好をし、口には剃り残した青髭。 首には何故か手拭いを捲いており、鼻のホクロからは毛が1本にょろりと、飛び出していた。 そして、露出した肌はかなりの筋肉で、油を塗っているかのようにテカッている。 「誰だきたまと聞かれたら、わたくちはこのキモイ屋敷のキモイメイド、アイオワと申しまとぅ!」 光かと思った人物は、アイオワと名乗るキモイおっさんだったのだ。  
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