前世より

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「ねえ、甲? 私たち、結婚しない?」 「付き合って三日目でそんなことを言った奴は君が初めてだろうね……」 段取りを踏めとは言わないが、それにしたって早すぎるだろう。 「そりゃ、世間から見れば三日かもしれないわよ? でも私たちは――」 そこで乙は、三秒ほど溜めてから、独特のかすれ声で言った。 「前世から、愛し合っていたじゃない」 それが、僕と乙の共通認識であり、付き合った理由でもあった。
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