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「いいなぁ、羨ましい。」
ぐしゃぐしゃにしてしまった神谷さんの髪を直しながら呟く。
そんな俺を見た神谷さんはふ、と笑っていた。
「僕は小野君の髪好きだよ。直ぐにピョンピョンしてて落ち着きなくて。」
―小野君そのものじゃん。
「え、酷っ!?なんでそんな事言うんですか!」
意地悪く笑う神谷さんの言葉に不貞腐れてやると、そんな怒るなって、とまた笑いながら俺の髪を梳いた。
「バカにしてるわけじゃなくてさ、なんか…小野君って放っとけないんだよ。その髪みたいに。」
だから似てるの、神谷さんはそう言って優しく笑った。
今日の神谷さんはよく笑うな、なんて思いながら、俺は神谷さんに抱きつく。
「ほんと、小野君は犬だからな。直ぐにいろんな奴と仲良くなって。…放っとけない。」
「それは…嫉t…」
はぁ、とため息をつく神谷さんに、俺は思わず目を輝かせる。
「違う!飼い主は大変だ、って意味だから。」
そう言った神谷さんの頬はほんのりと赤かった。
End
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