序章

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某日某所 「今月は二軒か…」 新聞配達員は今月の新歓件数を確認しながら、肌寒い春の朝をバイクでとばしていた。 30歳を越え、折り返し40歳も近付いてきた男は体力の減退を日々感じずにはいられなかった。 「昼間の仕事、どうしよっかな~」 朝は朝刊を配っているが、昼間は違う仕事をしていた。 俗に言う Wワーク と 言うやつだが、 先日、年下の先輩の態度に頭に来て辞めてしまったのだ。 「朝刊だけだと、生活費でギリか…」 などと、考え事をしながらも 走っては止まり、走っては止まり新聞を配っていく。 「これでラストっと」 後は事務所に戻って片付ければ終わりっ て、思いながらバイクをとばしてると 猫が飛び出してきた 「あぶな…」 気が付くと目の前には 車… 「マジで」 『おいおい、朝だからって まだ薄暗いんだからライトぐらいつけろよ~、それにこっちが優先道路じゃ~ん止まれよ~、こっちは無事だったからよかったものの…』 降りてきた運転手に、聞こえるか聞こえないかの声でぶつぶつ言うと 「大丈夫か?! …救急車呼ぶぞ! ちょっと待ってろ!」 『いやいや、無視ですか? 本人は無事だ…』 と 思ったら目の前には倒れた自分… 『え?』 嘘… 死んじゃった? 『んな訳ないじゃ~ん』 と運転手の肩をたたくと、 スカッ 『えっ?』 もう一度 スカッ 『えっ、えぇ~?!』 やっちゃったよ~ まだ、普通の人の寿命の半分もたって無いのに~ 『ふう、さて。 私は天国かな…、地獄かな…』 警察に捕まるような悪いことは、してないんだけどなぁ… って、冷静に考えていると、 目の前が急に明るくなった。
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