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独奏曲
「あ、××」
女は現れた男を見つけると駆け寄った
男はしばし何も言わず、ただ女を見つめ、言う
「ただいま」
女は男に抱きつく。男も女の背に手を回し、抱きしめようとしたが、思いとどまったように肩を掴み、一度引き離す
「ありがとう。こんな僕を待っていてくれて」
「ううん、いいの。私が好きでいたかっただけだから」
男は、独白のように問う
「本当に僕でいいのか?正直僕は今の君にはもったいないと思うのだが・・・」
女は首を振り、答える
「××でもいい、じゃない。××だからいいの。××じゃないとダメなの・・・」
「こんな汚れた僕を・・・」
男は、誰に言うでもなく言う
「もしも、もう一度を許されるなら、今度はキミを幸せにしてみせる・・・」
「うん・・・うん!」
そして今度こそ、二人は互いを抱きしめた。
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