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「お前、いったい何をしたんだ?」
まるで、レイスがミレディ第三王女を脅したのではないか。とでも言いたそうなジェノサイの口調に、レイスは慌てて「分かりません」とだけ答えた。
実際、レイスの身に覚えは無い。
騎士にならないかと言われて城に入るまでは、貴族や王族と到底係わり愛など持つことの無かった生活をしていたし、城に入ってからも毎日が鍛練だったので、騎士舎から出て城の中を移動したことはほぼ皆無だ。どこをどう考えても、かばってもらうような理由わ見当たらない。むしろ、初対面の騎士にあれだけ実例なことをされたのだから、今すぐに首を撥ねられることになっても、レイスには文句を言う権限さえ与えられないだろう。
「……とにかく、これがお前に下された命令だ。着任までまだ十日ほどあるが、お前の任地はかなり遠方にある。向こうに着任が命じられている前日には入っておくべきであることも考えると、三日後にはここを出発することになるだろう。早めに準備を済ませておけ。私からは以上だ」
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