~第一章~

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 幼なじみの微妙な変化だ、それなりに気にはなるが、とりあえずは急いで部屋に帰って片付けをするのが先決だ。  万輝が来るまではあとたっぷり10分はあるだろう、だが支倉陽奈乃という少女にはそんな気遣いは全く期待できない。ヒナの場合すぐ来るといったら本当に"すぐ"だ、おそらく部屋に帰ってカバンを置き、ゲーム機を掴んでそのまま部屋を出るだろう。  急がなければ、エレベーター待ちの時間を考慮してもあと5分ほどだろう、普段から溜まり場に使われることが多いから片付けはするようにしているが、時間は恐らくギリ! 「ただいま!」 母さんの返事を聞き流し部屋に直行する。うがい?手洗い?今日はカットだ。  昨日の夜読んでベッド脇に積んであったマンガを本棚に急ぎつつも丁寧に戻す、空のペットボトルはとりあえずごみ箱に突っ込んでおいて、ホコリに敏感なヒナのためにカーペットにコロコロをかけ、窓の外でクッションを叩く。 「啓太ー?、今日も陽奈乃ちゃんと万輝君くるのー?」  母さんもこのドタバタで察してくれたみたいだ、うーん!と叫んで返しておく。  一通り掃除を終え、点検するように部屋を見回していると  ピンポーン
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