君との距離、僕の距離感

～第一章～

　　このクッションはヒナが去年持ち込んだものだが、実はちょっとした逸話がある。

　基本この部屋で集まっているときはヒナは何年も前からこの体育座りポーズだったのだが。
　去年、ちょっと魔がさした僕と万輝はヒナがマンガを読んでいる隙にヒナのパンツを覗こうというミッションを試みた。

　…が、結果は惨敗。僕らの何気ない風を装った態度もヒナにはお見通しだったようで、まさにヒナのスカートに流し目を送ったところを揃って写メに撮られるという最悪の結果になってしまった。

　さらにそこからの制裁が凄かった。写メを僕らの親に送ると脅され(満面のニヤリ顔だった)僕と万輝はベランダの柵の上に布団よろしく"への字"に干され、無言のヒナに竹製の布団叩きで尻をそれぞれ百叩きされるという刑に処された。
　そしてその日から僕らは決してヒナの脚の向いてる方向に行かないという誓いを立てた。ヒナはヒナで持ち込んできたクッションをこれみよがしに股に挟み、たまに脚の向きを変えては慌てて移動する僕らを見て楽しむ…というのが今でも続いている。