~第一章~

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 みんな多かれ少なかれ同じようなことを考えてるんだと思う。  だってそうだろう、高校生活なんて昨日まで中坊と呼ばれていた僕らには想像もつかないものだし、今日は入学式、新しい生活の第一歩になるであろう日だ、期待が湧かないほうが変じゃないか。  隣に座っている女の子も前の席の男子も、僕とは違う中学のようなので知らない顔だったが、やっぱりどこか居心地悪そうにそわそわしているように見えた。  僕が割り当てられたクラスは普通科1-6、二階の教室からはまだ蕾の桜並木がよく見える。  入学式の後、僕らの教室に入ってきた先生は勤続7年目だという初老の男の先生だった。  とりあえず可も無く不可も無くな先生、といった印象だ、まぁ幸運だったと思う。  そして先生の紹介が終われば当然次は僕らの番、今は順番に自己紹介をしているというわけだ。  席順はお決まりの五十音順になっていて、今はちょうど中頃くらい、東一中から来た萩原という男子の番が終わって次は─ 「…東二中から来ました、支倉陽奈乃(はせくらひなの)です。」  ─僕の幼なじみの番だった。
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