笑顔3

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「今朝、“チィちゃん”が死んじゃったんですよぅ……」 ――大学生と言えばコンパだ。 年の半分以上を安上がりの酒に溺れ、お気に入りの娘と浮き名を轟かす事を大前提にしている俺にとって、新期生がやってくる春は大手を振って酒が飲め、胸を張って女の子といちゃつける、まさにハッピーシーズン。 伊達にサークルを5つ掛け持ちしている訳じゃない。『より良い人生を歩む為には、多くの人間との出会いと別れが必須だ』と、偉い人も言っている。 まぁ適度なアルコールが取れて、女の子も口説けて、コンパという場ははまさにその言葉にピッタリだ。名言ありがとう偉い人ッ!誰が言ったかは知らないけどなッ!! そしてこの日は『写真サークル』の集まり。 ん?意外だって?そんな事はない。美しい物を見て、それを永遠に形に残る物にストック出来るなんて、俺の趣味に非常にマッチしている。 疑うやつには、俺の携帯電話のプライベートフォルダを見せてやりたいね。たんまり取り込んであるんだから。ヴィーナス誕生よりも“美しいモノ”をさ!うひゃひゃひゃひゃッ! 「……そっか。それは…悲しいね」 「はい…。本当は、今日のコンパもどうしようかって、悩んでたんですけど…家に一人でいても滅入るだけだし」
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