笑顔3

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――さて、そんなしみったれた会話が続けられておりますが、俺は只今、せっせと新期生を『攻略なう』なのです! 去年はハズレばっかりだった写真サークルにも、今年は宝石が混じっていたり。 その一人が、今目の前にいる女の子。名前は雫(しずく)ちゃん。 他にも顔の良い娘は何人かいたけれど、コンパ中に何故か暗い顔して端の席に座っているときたものだ。ピンッときたね、俺の中のセンサーが。 『彼女は落とせる』ってさ!! 「うぅぅぅ……」 さて、そんな雫ちゃん。今朝突如、ペットが亡くなってしまったらしい。 名前はチィちゃん。チィチィ鳴くからチィちゃんとか、オーソドックス過ぎる感はあるけれど、そういうの、個人的には嫌いじゃない。良いじゃないか。本人共々簡単そうで。 本来ならば、酒の席で泣くなんぞもっての他。うざったく思われても仕方の無い事なのだが、俺の場合、彼女の様に容姿が抜群な女の子は話が別。 むしろ、こうした小さいイベントでガッツリ好感度を上げるのだ。 女の子を口説く一番のコツ。それは、『相手の話をきちんと聞く』という事。これ重要! “小さな事からコツコツと”を座右の銘に上げる身としては、聖徳太子の如き冷静さで、彼女の話を聞き、悲しみを和らげてあげる事に全力を尽くすべきなのだ。 「いやぁ…、雫ちゃんの気持ち、良く分かるよ」 「……グスッ。本当ですかぁ?」 涙で潤んだ瞳がこちらに向けられる。ウェーブがかった髪の毛がフワリ。 アルコールの作用も手伝って、赤らめた表情にはもうメロリンキュンッだ!!
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