笑顔3

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幸い、俺はアルコールで『使い物にならなくなるタイプ』では無く、むしろ燃え上がる人間なのだが、途中で眠りこけてリタイアとかはマジで勘弁。 「あう~。体フワフワしてますよぅ。私、ちゃんと歩いてますか?」 「あーうん。ばっちり。……帰り道はこっちでオーケー?」 「はい~。送って行ってくれてありがとうございます~」 そう、ばっちり。彼女はばっちり俺におぶられている。吐きはしなかったものの、立ち上がればフラフラと危なっかしい雫ちゃんを、結局は俺が送っていく事になった。 彼女の介抱を申し出た俺には、一部の男子からの下卑た笑みと、女子からの至極冷たい侮蔑の視線が進呈された。 しかし、それでどうという事も無く、結局は全部スルー。酔っ払いの相手という面倒な事柄は、すんなりこちらに一任されたのだった。 まぁ基本、自分に危害が回ってこなければ、周囲の事なんて割りとどうでも良いのが人間の関係性ってやつだ。 二次会に行った連中、きっと今頃はボーリングだろうか?それともカラオケだろうか?まぁ、どっちでも。テキトーに楽しんで来て欲しい。 こちらもこちらでしっっっかりと楽しませてもらうのだからな。うひゃひゃッ! 「…………チィちゃんにも、こんな空を見せて上げたかったな……」 そんな健康的欲望満載な妄想にふけっていると、不意に静かになった背中の雫ちゃんが、スンスンと鼻を鳴らす音が聞こえてくる。 「……ふっ…うぅ、チィちゃん、星を見るのが好きだったから……」 ふぅん。随分とロマンチックなペットもいたもんだ。
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