忘れ物

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「ごめんっ!忘れ物したっ!」 突然空いたドア。 「ぁ…………」 ふいにこぼれた涙を隠す時間なんてなかった。 「蛍……?」 「ごめんごめんっあたし瞬き忘れたっ」 「忘れてた」 優しく重なった唇。 「今日、休みだった(笑)」 甘い笑顔。 「じゃぁどっかいこっか。着替えよ?」 「うん♪」 「忘れ物………」 「え?」 「蛍だったから」 「隼斗のバカ//」 火照る顔。 「あとどっちにしろ、いってきますのチュー忘れたから//」 隼斗の顔も赤く染まる。 「大丈夫、傍にいるから」 さりげない一言がうれしくて 結局綺麗に仕上げた化粧が ボロボロになるくらい泣いて こんなのもいいんじゃないかな なんて思ったら 安心して余計に涙が出た。 あなたの忘れ物はあたしとキス。 あたしの忘れ物はあなたと安心。
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