序章

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突然ではあるが、とある世界は幾度もの破滅の果てに救われた。 甚大な被害、多大な犠牲と、一人の青年の幾度にも及ぶ人生(いのち)を賭して。 ことの発端は、神の名を有する『概念的であり思念的な存在』の暴走からであった。 この存在はセカイを構築した創造主及び神でありながら、人に構築された存在でもあった。 人は、この存在をゼウスともオーディンとも言った。 この存在は概念や思念、それに類似するモノに限り、ありとあらゆる存在でもあったのだ。 だが、これによって一つの問題が起きた。 人間である。 人間は増えすぎてしまった。 人間の思念と言うのは恐ろしい程のチカラを持っていた。 特に負の感情というモノは際限が無い。 人間のそれは、人間の概念や思念を取り込むその存在の莫大な器をも越えてしまった。 その存在を脅かし、狂わせてしまったのだ。 暴走は突如として起きた。 その存在の半分以上の存在を奪って、一つの存在に成ったのだ。 しかし、その存在はそれでも最期の抵抗とでも云うべきもので、暴走する自身のソレを切り離し、残ったソレ以外の総てで一つの魂を産み出し、世界に落とした。 それが前述で述べた青年である。 だが、その行動は人間を護るためのものではない。 暴走を食い止め、その存在が再び一つの存在に戻るためのものだった。 青年にもそれはわかっていた。 それが自身の存在理由と言うこともだ。 しかし、青年はそれでも構わなかった。 世界全て等と大それたことは言わない。 自身の大切な人達だけでも救えるのならと。 自身の身を削り、魂を削って、心の内を誰にも明かさず戦い抜いた。 そして……
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