プロローグ

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『堂々と触ればいいやん。宮川さんなら、いいよ』   『え??』     宴会の帰り、宮川さんのスキンシップに対して言ってしまった言葉。   もちろん、冗談だった。 お酒の席だし…     その場は何気なくスルーされた言葉は、1時間後に実現されようとしていた。           『お疲れでした~』   宴会終了後、ハンドルキーパーの私は酔った人間を送り届けていた。 まぁ、軽自動車だから、送っていくのは実質3人なのだが。 その後部席に乗っていたのが、   宮川 知博(ミヤガワトモヒロ)31歳     既婚者。2歳の息子が2人。 いい夫であり、いい父親。 そして…私の密かな想い人。       順番的には3人のうち、宮川さんは2番目に送るはずだった。 宮川さんの家が近付いたときに、彼がいきなり発した言葉が意外過ぎて少し驚いた。     『俺最後でいいよ』     冷静を装うために『あ~はいはい酔っ払いは最後ね』と交わしたが、内心ドキドキしていた。   最後に送るはずだった人を先に降ろし、自転車を押して帰る姿が見えなくなったあと、車に戻った。    
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