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僕は、走っていた。
もっと正確に言えば、逃げていた。
追って来るのは朱色の鎧を着けた兵士達。
ざっと十人は居るだろうか?
いや、訂正しよう。十匹、だ。
なぜなら、追っ手はみな、人の形をしていない。
ポケモンだ。その人ならざる者達は今や世界人口の99%を占めているだろう。
人間は今や、僕と今僕の前を走っている両親の三人しか居ないのだから。
「滅び損ないが!死ね!」
追って来るブーバーが、火炎放射を放って来た。
まあ走りながらの火炎放射なんて当たらないけど。
「トドメだ!」
広い荒野に今度は稲妻が走る。
ピカチュウが放った電気ショックは、僕の父さんを地面に伏せさせた。
「ぐああ!くううっ!行け!行くんだ!マリア、ジャックをたの…」
「父さん!」
父さんは追いつかれ、ストライクに鋭い鎌で切り裂かれた。
逃げようと前に向き直ると、いつの間にか前からも敵が来ていた。回り込まれた?
後ろの敵が、岩を放ったのが見えた。真っ直ぐ飛んで来る。
ここまでか…
体に、衝撃が走った。
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