第一章 最後になるとき

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僕は、走っていた。 もっと正確に言えば、逃げていた。 追って来るのは朱色の鎧を着けた兵士達。 ざっと十人は居るだろうか? いや、訂正しよう。十匹、だ。 なぜなら、追っ手はみな、人の形をしていない。 ポケモンだ。その人ならざる者達は今や世界人口の99%を占めているだろう。 人間は今や、僕と今僕の前を走っている両親の三人しか居ないのだから。 「滅び損ないが!死ね!」 追って来るブーバーが、火炎放射を放って来た。 まあ走りながらの火炎放射なんて当たらないけど。 「トドメだ!」 広い荒野に今度は稲妻が走る。 ピカチュウが放った電気ショックは、僕の父さんを地面に伏せさせた。 「ぐああ!くううっ!行け!行くんだ!マリア、ジャックをたの…」 「父さん!」 父さんは追いつかれ、ストライクに鋭い鎌で切り裂かれた。 逃げようと前に向き直ると、いつの間にか前からも敵が来ていた。回り込まれた? 後ろの敵が、岩を放ったのが見えた。真っ直ぐ飛んで来る。 ここまでか… 体に、衝撃が走った。
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