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芭「曽良くん?どうしたの、いきなり黙っ…いたたたたた痛い痛い!!」
曽「こっちを見るな」
今、振り向かれたら困る。
芭蕉さんにこんな顔を見られたら、どうせ馬鹿にしてくるだろうから。
曽「あんたは蝶々でも眺めてなさい」
芭「え、蝶々ならさっき嫌というほど追いかけ回し…」
曽「いいから」
芭「痛い!髪掴まんといて!」
なんだよ、私が何したんだよ、と文句を言っていたが今は構わないでおくことにした。
後で断罪すればいい。
それより今は、この体温をどうにかしなければ。
芭「…曽良くん、少し熱いね。
具合悪いの?」
芭蕉さんが前を向いたまま尋ねてきた。
表情を見なくとも、僕を心配しているのが声音でわかった。
(まったくこの人は、いつも鈍感なくせにこういう時だけ鋭い)
曽「べつに具合が悪いわけではないので安心して下さい」
芭「嘘だ!!」
曽「っ!」
少し油断していた隙に、まんまと振り向かれてしまった。
すぐに顔を背けたが、それも無駄なこと。
今僕は、耳まで真っ赤になっているのだから。
(……あぁ、やってしまった。
芭蕉さんのことだ、このネタで僕を1週間はからかってくるに違いない)
そう覚悟をして芭蕉さんと目を合わせると、彼はとても意外な顔をしていた。
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