菜の花畑にて

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芭「好きだよ」 その言葉は、的確に僕の気持ちを表していた。 でもそれは僕の口から出た言葉ではなくて。 耳元で、今確かに響いた言葉だった。 芭「好き。君が、好き」 何度も囁かれる言葉に、僕は何も答えることが出来ない。 芭「…ごめんね、辛い思いをさせてしまって。 ごめんね、苦しそうな声を出させてしまって。 知ってたよ。君が私に向けてくれる感情も熱も、全部」 やけに冷静になって話を聞いている自分に驚きつつ、僕は黙って芭蕉さんの紡ぐ言葉を聞いた。 芭「君が……弟子としての気持ちと、もう1つの気持ちとの間で悩んでいたことを、私は知ってた。 でも私はどうしたらいいかわからなくて…逃げていたんだ。 君のことを一番に考えるのなら、今まで通りただの師匠と弟子という関係でいた方がいいんだ。 君の人生を、私みたいなおじさんのために棒に振ってはいけないから」
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