Ｈeart quake

Ⅳ

「イニスが大事なんだね」

唐突に、イザヤは呟く。

「え？」

「あんなふうにイニスを見つめる人を、俺は今まで見たことがなかったよ」

「……どんなふうに……？」

あの、幸福そうな笑顔を言っているんだろうか？

僕にいたずらを仕掛けたあと、こちらの怒りを解いてしまう力を持った―――やわらかな笑顔のこと？

「愛おしい、っていう感じ」

俺もイニスのことはすごく好きだけどね、でも俺は家族だから―――俺のそれと彼のそれとはなんだか違う気がする。

イザヤのその言葉で、僕はもう一度思い出した。

深く考えていなかったけど―――

―――やきもちだよ、とか―――、僕にその顔を、見られたくないと言ったこととか―――。

……それはもしかして―――。