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「うわ、悪い!大丈夫か?えっと…」
目の前で男子がうろたえている。
それがおかしかったのか舞彩は思わず笑ってしまった。
「大丈夫、だから」
笑いながらそう答えるのに必死だった。
「そうか?ま、まじごめんな!」
「うん」
まだ笑いがとまらないが、先生が来たので無理に笑いをとめた。
…多分、ニヤけ顔になっていたと想う。
それから帰りの挨拶を済ませ、私は直ぐさま一緒にいる友達の所にいって笑いそうな顔を隠すべくまた顔を伏せていた。
「大丈夫?とりあえずどんまいっ」
こう言ってくれるのは足立かえ(アダチ カエ)
一年の時から一緒の友達だ。
「うぅー、ありえない…。」
「見事におでこに当たったもんね」
「一回机に当たってだよ!?ありえないよ流石にさ!」
「あはは、舞彩、後ろ」
かえが私の後ろを指差しながら笑っている。なので後ろをみると
「すみませんでした!」
…と、さっき話した男子。
「え、あ、別に全然!」
「いや、本当俺のせいだから、まじごめんな!」
会話をしたのは、多分この時が初めて。
だって、それまではキミの存在さえ知らなかった。
…本当なら、ずっと知らなくてよかったのに。と、今更想ってるんだ。
「…テニス部?」
「へ?あぁ、そうだよ」
後ろにテニスラケットを持っていて、しかも肌は真っ黒。明らかにテニス部の格好をしていた。
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