死者の夜明け

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「いやいや、"うん"じゃなくて何か言えよな。行方不明とか通り魔とか多いじゃん」 そう言われ利弥は焦った。 利弥は人並みのコミュニケーション能力が無いのか、人に嫌われないかといつも考える悪い癖だ。 しかし国井とは教育隊からの仲で、そういったことも国井は分かっていた。 「う、うん……」 「だからァ――」 その時国井が南坂原方面への道を見た。 「班長!南坂原方面からワゴン車が来てます」 国井が指差す方向にはワゴン車が検問へ直進しているのが見える。 些か速度が出過ぎているようだった。既に検問所の目と鼻の先だ。 「止まれ!」 一人の隊員が手を挙げながら叫ぶが止まる気配は無さそうだ。
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