死者の夜明け

2/26
前へ
/26ページ
次へ
『……繰り返す……総……運動場へ集合せよ』 そんな五月蝿い放送により陸上自衛官である三橋 利弥(ミハシ トシヤ)は目を覚ました。 「うるせえなぁ……」 「まだまだじゃん……」 同室の隊員達も苦言を吐きながら目を覚ました。 利弥はデジタル時計を見るがまだ四時過ぎであった。起床ラッパが鳴るまでまだ二時間近くあるはずだ。 誰かが部屋の明かりを点けると、目に光が眩しく突き刺さる。 利弥は飛び起きると急いでジャージを脱ぎ、ロッカーから迷彩服を取り出した。 まだ頭が状況を把握していないが無意識のまま袖を通す。 ズボンを履き、ブーツの靴紐を締めると携帯電話をカーゴポケットに押し込む。 最後に爪先の感触を確かめ、壁に掛けられているヘルメットを手に取った。 利弥が部屋を見渡すが、他の隊員達はまだ着替えていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加