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大型の輸送トラックがゆっくりと発進する。段々と武器庫とそこに集まる隊員達と離れていく。
利弥は帆の間から空模様を見るがまだ薄明るい紫色だ。時計は六時前を示している。
隊員達で密集する荷台を見渡す。皆は目がまだ完全に覚めていないのか沈黙に包まれている。
「なあ井上。第七分隊に緒方士長っているじゃん?」
沈黙を裂くように国井が口を開いた。
「ああ、あの美人の人か」
利弥の隣に座る井上がそう返した。彼もまだ瞼が重そうだ。
「あの人、彼氏出来たらしい」
「マジかよ!?うわぁ、早く手ぇ出しとけばなぁ」
他愛もない話で二人は盛り上がっている。利弥は目を綴じながら耳を傾ける。
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