妖猫フリン

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有頂天になった凡庸な商人は、相場に手を出した。 そして、当たり前のように全てを失った。 3人子供を産んだ妻も、住み込みで働くことになり、子供たちはそれぞれ丁稚に出された。 男は、莫大な借金に精神を病み、首を吊った。 フリンは再び野良猫になるところ、なんだか気になり妻の様子を見に行った。 妻は、住み込み先の主人に気に入られ、妾になるよう迫られていた。 フリンは見兼ねてまた人語で相談に乗り、妻を逃がした。 妻とフリンは、一番上の子供の奉公先に向かい、やはり酷い待遇を受けていた子供を逃がした。 母親と長男は、妹と末弟の奉公先へ行った。 幸い妹の主人は善人であったので、親子3人で仕えることになった。 だが、末弟は、既に人買いに売られており、母子には探す方法が無かった。 フリンは、末弟が送られた西の大陸に渡航することした。 大陸には、錬金術という魔術を扱う学者たちの街があって、そこでは人も獣人も平等に暮らしているという。 猫ゆえに、人ではないゆえに歯がゆい思いをすることもある。 齢160になったフリンは、大陸に向け新たな旅に出た。
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