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マーズは憮然として、ハーフエルフの傭兵に愚痴た。
昼飯を奢りがてら経緯を聞かされた金髪碧眼、上背もある男前の拳闘士は、テーブルに肘をついて呑気に笑っている。
役所通りの飲食店は、客で溢れていて、人々も垢抜けている。
笑いながらも、ハーフエルフも言った。
「そりゃ、なぁ。アリスンが街に居ないと知りゃあ、目の色変わる奴等もいるだろ」
マーズは、信頼する兄貴分にまで断言されて落ち込んだ。
「…そんなにオレは頼りないんだ…」
夕暮れ前に家に帰り、当番ではないが夕飯の支度をしていたら、勝手口のドアをガリガリやる音がした。
勝手口を開け、見知った大柄な猫を家に入れてやり、魚の干物と水を与えた。
その時、師匠が帰ってきた。
「おお、居たか。…兄さんも。
マーズ、お前。皆に心配されているぞ」
師匠は、マーズが今日会った人物全員から忠告を受けていた。
「…まあ、シェーラ姐さんには話しといたから。
兄さんがお前と居ることになったから、とりあえず大丈夫だろう。
皆に迷惑かけないようにしろよ」
不機嫌なマーズと対象的に、大柄な猫は、一声、機嫌良く鳴いた。
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