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今でも覚えている。
『えりちゃんの嫌いなもの全部、おれが消してあげる。だからおれをもっと頼って。求めて。』
ひどく優しい声とは対照に、内容はひどく恐ろしかった。
けれどあの頃の自分には、それだけが唯一の救いだった。
実際
『あの子嫌い』
そう呟けば、翌日からその子が学校に訪れることはなかった。
いつだっただろう…
あの子のやっていたことが
自分のやってしまったことが
どれほど恐ろしく取り返しのつかないことなのかを理解したのは…
それを理解したとき、僕は恐怖した。
自分の無知ゆえの過ちを無いものにしたかった。
そして、
ついに言ってしまった。
『こうちゃんなんて大嫌い!』
翌日から、あの子は、こうちゃんは学校に来なくなった。
それどころか、行方さえ分からなくなった。
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