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萩山はもうどこかに去っていた。彼はやりたいことがあるから。
二人は川沿いの土手を歩く。野鳥が空を飛ぶ。
「何の鳥だろうね」
「バード」
二人はそう言う。そう言うと下の川で鴨が鳴いた。水面下でのバタ足に二人が気付くことは無い。
「ぐぁぐぁわっ」
「似てねー」
「分かってるから真似したんだよ」
言い訳は工事の音で掻き消された。「土手の向こう側かな」コーラの空き缶を蹴飛ばして川の中の鴨に背を向ける。
「そうも言ってられない」
前から赤いりんごがころころ転がってくる。
とりあえず秋本がそれを拾う。かじっていい、と目が爛々。
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