襟/糸/1

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「…はい、大丈夫?」 「あ、りがと……。」 「別に…俺が好きでやっただけだから。」 「…優しいんだね、君。」 ふふふ、だなんて微笑まれて少しだけ胸が高鳴った。 …この人、こんなに綺麗に笑うんだ。 「初めて、会った人なのに…本当にありがとう。」 「……大丈夫だって。」 「あたし、こーゆーナリだから、優しくされるの、久し振りで…嬉しかった。」 この人といるだけなのに、さっきからずっと胸が高鳴っている。 …しかもこの人、格好はまぁ…悪そうだけど中身は全然良い人だ。 「じゃあ、あたし行くね?」 「あ……っ、」 「本当にありがとう。」 そう言って行ってしまった。 「……あれ、」 “MINORU”と書かれたキーホルダーと、俺を残して。 あれから3年後、俺は戸惑っていた。 「……………。」 「……………。」 あれからもう会えないと思っていたあの人が、俺の隣の席にいる。 この学校にいる事は知っていた。 だけど相手は覚えていないだろうと思って特に話したりはしなかった。 そんな彼女が、隣にいる。 .
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