盤/上/1

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恋、とか愛、は自分の世界をキラキラと輝かせてくれる。 そう、思ってた。 『ごめん、文田。』 あの日までは。 「ふぁーぁ……。」 春が、好き。 こうやって屋上で寝転がると気持ちが良いから。 「文田ー、パン買ってきたよー。」 「太一遅い!パンぐらい速く買って来なさいよ!」 「ぐ、じゃあ文田が買って来いよー。」 「太一がジャンケンで負けたんじゃん、文句ある?」 「…………ありません。」 「それでいーの、お釣りは?」 「はい、」 男友達の太一とお昼休みにここで食べるようになったのは1年から。 太一とは1年の時から何かとつるんでる。 「ん~~……っ、気持ち良いな。」 「春だしね。」 「文田花粉症じゃないんだ。」 「まぁね。」 「ふぅ~~ん………。」 「……寝ないでよ?」 「ね、寝ないよ。」 そう言ったって太一、もう瞼閉じかかってたよ。 .
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